12月・1月のお手入れのポイント

 

1.植え替え・植えつけ

 

このホームページの内容は、当地のバラの手入れについて書いているので、寒冷地でバラを栽培している方には、細部のことになると、あまり参考にならないかも知れませんが、基本的な事はお伝えできるのではないかと思っています。分からないことがありましたら、(公財)日本ばら会にお尋ねください。お近くのバラ会を紹介します。

 

 12月も中旬を過ぎると休眠期に入ります。バラの休眠期は思いのほか短く、12月中旬~1月中旬までの1ヶ月ほどです。地上の芽はまだ眠り続けていますが、地中の根は1月中旬~下旬頃には伸び出し、芽出しの準備を始めます。

 大苗の植え替えや、購入苗の植えつけ、鉢物の植え替えなどは、休眠期を利用して行うのがベターです。しかし、この時期より遅れることの方が多い

のですが、2月いっぱいぐらいなら、ほとんど支障はありません。

 

 鉢物は毎年植え替えが原則です。10号鉢以上の大鉢なら23年ごとでも何とかなりますが、要は鉢内に根がいっぱいになっているか否かです。

 各地の講習会などでよく質問されることですが、鉢物を買って45年経っているが、最初の花だけでその後まったく咲きませんが、どうしてでしょうか、と本人は真剣です。こちらは笑いをこらえて、株を鉢から抜いてごらんなさい。鉢内は根ばかりで土がない状態だと思いますよ。いわゆる根詰まりです。冬になったら根にハサミを入れて、半分以上切って植え替えれば解決します。判で押したような答に、喜びの声が返るのが必定です。

 

 10年ほど前からコガネムシ類が鉢土に産卵し、土中の幼虫が根を食べつくして、バラの木を枯らす被害が増えています。地植えのバラが枯れることは滅多にありませんが、鉢植えの被害はひどく、小さな鉢ではしばしば枯れることがあります。コガネムシの産卵は、7月~8月なので、予防法については7月~8月の手入れで書きたいと思います。

 鉢の植え替えの時、鉢土の中に幼虫を見つけたら、ビニール袋などに入れて処理してください。

 被害を受けたバラの根は、白根がほとんど無くなっていますが、地上部の枝が枯れていなければ大丈夫ですから、普通の植え方で植えておいてください。バラはもともと丈夫ですから安心してください。

 

2.害虫駆除

 

 休眠期に入ると、病原菌は活性を失いますから、病気予防の薬剤散布は一休みです。害虫のカイガラムシは、幹の途中にへばりついたり、樹皮の下に潜み、ハダニは根元付近の古い樹皮の下でぬくぬくと冬眠しています。樹皮をはがしてブラシなどでこすり落とすのが確実ですが、薬剤としては、スプレー式マシン油乳剤を散布すると効果があります。

 

3.冬の元肥(露地植え)

 

 休眠期は移植のチャンスと共に、冬の元肥えを施す時期でもあります。休眠期はかなり荒っぽく根を切っても支障がないので、春花用の元肥えを与えるチャンスでもあります。

露地植えについては、基本的には、根元から3040センチほど離して円周状に牛糞や堆肥、腐葉土などを1株当たり5ℓ~10ℓほどと、有機質の肥料を700g1kgぐらい撒き、フォークやスコップなどで軽く表土と混ぜ合わせます。

腐葉土や牛糞、堆肥などは微生物が分解し、土粒の周りを覆って土をふかふかにし、大切な団粒化に役立ちます。いわゆる水持ちよく水はけのよい土で、しかも肥料分を適当に保持し、植物の要求に応じて肥料分を供給する優れものです。

 肥料成分は、チッソ:リンサン:カリが1:3:1と言われていますが、土壌分析などの例を調べると、趣味のバラづくりの人達の場合、リンサン分が飛び抜けて多く、10年分ぐらい溜まっています。1:3:1の割合は、見直さなければならないのではないかと思います。肥料バランスが崩れると、色々と支障が現れます。むしろ1:1:1でも十分だと考えられますから、リンサ分を従来より少なめにしてください。

 湘南バラ会で、1123日に行った講習会では、冬の元肥えとして、次の量を提示しました。

 

油かす       300500g

炭酸苦土石灰    200g

バッドグアノ    300g

硫酸カリ      100g

腐葉土       10

 

 

4.潅水その他

 

バラの根は、ほかの植物に比べて太根が少なく乾燥に弱いので、冬でも水やりに注意してください。雨の少ないこの季節は、思いのほか乾いています。水分不足と寒さで葉がない時期なので、水分が枝先に届きにくく、枯れ込むことがありますから、地表面が乾いたと思ったら、なるべく暖かそうな日を選んで、午前中に水やりしましょう。夕方に潅水すると、夜間表土近くが凍結することがあり、根に悪影響を与えます。

 鉢植えのバラは別図のように植え替えますが、鉢土の中に肥料は入れないでください。表土の上に有機質の玉肥えを置きますが、これも2月下旬に初めて与えることになります。(植え替えと同時に置肥しても、まだ肥料成分を吸う力もなく、かえって根を傷めるおそれもあります)

                                                                                  

                                                      文責・成田光雄